【相続コラムVol.2~事例編~】相続でもめないための知識と知恵~離婚・再婚、先妻の子がいる場合~

離婚・再婚が増えています。その時は相続のことを想定することはありません。しかし、相続に至ったとき、複雑な家族関係で悩むケースがよくあります。

先妻の子がいる場合

Q
「離婚した先妻との間に娘が1人いま す。養育費も払い結婚費用も出し、親としてそれなりのことはやってきました。私は再婚し、今の妻との間に子供が1人います。今の妻の協力もあり、再婚後に 自宅とアパートを持つようになりました。相続対策として何かしておくことはありますか?先妻の妻と娘とは、10年以上疎遠になっています。」
A

何もしないとどうなるかです。法定相続人は、妻と子Aと子B。
法廷相続分は、妻2分の1、子A・B各4分の1。
ポイントは再婚後に今の財産を形成したことにあります。子Aには気の毒ですが、私としては子Bに手厚く財産を渡したいのが本音でしょう。
生前に法定相続分を変えることができるのは「私」だけです。
方法は、「遺言」です(但し、婚姻期間が20年を超えていれば、配偶者である妻に最高2,110万円までは無税で贈与はできます。そうすると私の相続財産は減らせることになります)。
しかし、「自筆証書遺言」では不都合が考えられます。自筆証書遺言は家庭裁判所での「検認」手続きが必要になるからです。相続人全員に家庭裁判所から呼び出しの連絡が来ます。
当然Aにも連絡が行き家裁で遺言書を開封します。Aに不利な遺言内容だった場合、その心境はいかばかりか?寝ている子を起こすようで、余計な波風を立てることにもなります。

だから、「公正証書遺言」が好ましいのです。
公正証書遺言にすれば、家裁での検認は不要です。遺言執行人を指定(例えば、妻に)しておけば、遺言執行人が単独で(Aと関係なく)不動産の相続登記手続きや銀行預金の払い出しを行うことができます。但し、子Bには遺留分がありますので、遺留分程度の財産を相続させる配慮が必要かもしれません。
このケースで最悪なのは、現在の妻にも子Bにも前棔の子Aの存在が知られていない場合です。私としては、過去の出来事を隠さず相続に備えることが重要です。尚、遺留分減殺請求権は、遺留分の侵害を知った時から1年または相続開始から10年で時効になります。

法定相続人図面